捨身飼虎(しゃしんしこ)
久しぶりにネパールのお話です。カトマンドゥから東に約40kmの所に、仏教の聖地ナモーブッダと言う所があります。ここでこんなお話を寺院の方からお聞きしました。(自照出版=ジャータカの絵本 文・豊原大成から子供向けに引用させていただきました)。
昔々、インドの三人の王子様が、おともの人たちから離れて、深い深い森の奥に入って行きました。一番上の兄さんは、「トラやオオカミが出てくるかもしれない。なんだかこわいね」と言いました。二番目の王子は「ぼくはこわくない」と言いました。一番下の王子は「私の心には花が咲いています」と言いました。もっと奥へ入って行くと大きなトラに出会ってしまいました。トラは5匹の子どもをつれていました。お母さんトラです。良く見るとお母さんトラはすっかりやせています。子どもたちがお母さんトラのおちちにしがみついているので、食べ物を探しに行けないのです。一番上の王子が言いました。「かわいそうに。このトラは腹がへって、自分の子どもを食べてしまうかもしれない。そうしないと死んでしまうよ。もし子どもを食べずにお母さんトラが死んだら子どもたちもおちちがのめずに、きっと死ぬ。」
一番下の王子が兄さんにたずねました。「トラは何を食べるの?」。兄さんは答えました。「動物の肉を食べるのさ」。弟は言いました。「誰かトラに自分の肉をあげる人はいないのかな?」。兄さんはこたえました。「それはだれもできないよ」。弟は考えました。「だれかがこまっているとき、苦しんでいる時、助けるのが正しい。知らん顔をしているのはよくない。そうだ!」弟は二人の兄さんに言いました。「兄さん、あっちへ行っててください」。そして、自分がえさになるために、トラのそばへ行きました。しかしトラは動くことが出来ません。弟の王子はトラのすぐそばの岩山に上り、そこからトラのそばに飛び降りて、トラのえさになりました。王子の心には美しい花が咲いていました。
王子は死にました。しかしやがて生まれ変わってお釈迦様になりました。
この話は日本にも伝わっています。子トラが二匹だったり三匹だったり、話によって多少違いますが内容は同じです。三人の王子の心はみな違います。それぞれ当然のことですが、自分だったらどうなのかなって考えちゃいますねぇー。合掌
このナモーブッダの丘のお話です。インドの王子様となっていますがお釈迦様はネパールで生まれた、仏様の中で唯一、実在の人物だそうです。



